出勤できないほどの頭痛 ― 職場で理解されにくい痛みとの向き合い方
こんにちは。事務局長のKです。
先日、私の地元・南千住にある素戔嗚神社(すさのおじんじゃ)で、「天王祭(てんのうさい)」が開催されました。
南千住だけでなく、町屋や三ノ輪、橋場の地域も巻き込んで行われるこのお祭りは、規模も大きく、地域の方々が心待ちにしている年中行事のひとつです。
神輿の掛け声と熱気、太鼓の音、そして町中の活気に、私自身もとても元気をもらいました。
――けれど一方で、こうしたにぎやかな場所や季節の変わり目が「つらい」と感じる方がいることも、私たちは忘れてはなりません。
それは、「頭痛」を抱える方々です。
音や光、暑さ、人混みなどが“トリガー”となって、強い頭痛に襲われる。
楽しいはずの行事や、出勤前の朝の時間ですら、頭痛があると一変してしまうのです。
今回は、そんな「出勤できないほどの頭痛」について、どう捉え、どう職場と向き合っていけばいいのかをお伝えします。
「たかが頭痛」ではありません
片頭痛や緊張型頭痛といった「一次性頭痛」は、命に関わる疾患ではありませんが、日常生活を強く制限する慢性疾患です。
世界保健機関(WHO)は片頭痛を「生活の質(QOL)を著しく下げる疾患」と位置づけており、うつ病や糖尿病と並び、世界的に見ても“社会的損失”が大きい病気とされています。
ところが日本では、「頭痛くらいで休むなんて」「ただのサボりでは?」といった誤解が今なお根強く残っています。
その結果、我慢して出勤し、痛みと戦いながら働く方が少なくないのです。
無理な出勤が、頭痛を悪化させることも
頭痛を抱えたまま出勤することで、症状がさらに悪化するケースもあります。
たとえば、通勤電車の光や音、におい、満員の圧迫感が刺激となり、片頭痛が強くなったり、吐き気を伴ったりすることも珍しくありません。
さらに、職場では「タイミングを見計らって薬が飲めない」「少し横になる場所もない」という状況になりがちです。
こうした無理の積み重ねが、頭痛の慢性化や、薬の効きにくさ(薬物乱用頭痛)につながってしまうこともあります。
職場に理解してもらうために
「頭痛は甘えではない」ということを、周囲に正しく伝えるにはどうしたら良いでしょうか。
実は、いくつかの工夫で職場の理解を得やすくする方法があります。
医療機関での診断書を提出する:症状の深刻さを“客観的”に伝える手段
頭痛ダイアリーを記録する:発作の頻度やトリガー、仕事への影響を可視化
上司に前もって相談しておく:急な欠勤・早退の可能性を伝えておくことで信頼関係を築く
「伝えにくいから黙っておこう」と抱え込むのではなく、適切な方法で誠実に共有することが、結果としてご自身を守ることになります。
自分でできるケアと予防も大切です
頭痛と上手に付き合うには、セルフケアも欠かせません。
睡眠・食事・ストレス管理など生活習慣の見直し
頭痛アプリを使ってトリガーの分析
痛み止めの“使いすぎ”に注意(薬物乱用頭痛)
最近では、片頭痛の予防薬(CGRP関連製剤など)や、発作時に早期効果を示す薬剤も登場しています。
症状が強い方は、一度専門医と相談してみることをおすすめします。
「がまん」しない。まずは相談を。
「頭痛くらいで病院に行ってもいいのかな」と遠慮される方は少なくありません。
でも私たちは、そんな方にこそ「相談してよかった」と感じていただける場所でありたいと考えています。
「会社に理解されない」
「誰にもこのつらさがわかってもらえない」
――そんな思いを一人で抱えず、ぜひ一度ご相談ください。
東京頭痛脳神経クリニックは、あなたの“痛みの味方”でありたいと願っています。
お気軽にお声かけください。
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