頭を打ったけど大丈夫?
頭を打ったけど大丈夫?
〜頭部打撲と脳出血について知っておきたいこと〜
こんにちは!院長のMです。
本日は頭部打撲についてお話しします。
日常の中で、転倒や事故などによって「頭をぶつけてしまった」という経験は、誰にでも起こりうることです。
でも、見た目は大丈夫そうでも「脳の中で出血が起きている」こともあるのをご存じでしょうか?
今回は、頭部打撲で起こる可能性がある代表的な脳出血について、また頭部CT検査やMRI検査の重要性についてお話しします。
🩸 頭を打ったときに起こることがある代表的な脳の出血
■ 外傷性くも膜下出血(がいしょうせいくもまくかしゅっけつ)
脳の表面を覆う「くも膜」の下に出血が起きる状態です。
軽いものでは無症状のこともありますが、出血量が多いと意識障害やけいれん、吐き気、頭痛などの症状が現れます。
ポイント:頭を打ってから急に頭痛が強くなる、意識がぼんやりする場合は要注意です。
■ 急性硬膜外血腫(きゅうせいこうまくがいけっしゅ)
頭蓋骨の内側と脳を覆う膜(硬膜)の間に血がたまる状態で、頭蓋骨骨折によって硬膜の血管が損傷することで発生します。
特に転倒して頭を強く打ったあと、一度元気そうに見えても、数時間後に急に意識が悪くなるという「意識清明期」があるのが特徴です。
ポイント:最初は軽症そうでも、数時間後に急変することがあるため早期のCT検査が重要です。
■ 急性・慢性硬膜下血腫(きゅうせい・まんせいこうまくかけっしゅ)
脳を覆う膜(硬膜)と脳の隙間に血がたまる状態です。頭を打って間もなく生じる急性のものと、数週間〜3か月ほど経過してから生じる慢性のものがあります。軽い外傷でも、じわじわと血がたまり、脳を圧迫する状態となります。
慢性硬膜下血腫は高齢の方に多く、物忘れやふらつき、手足のしびれなど、認知症に似た症状が出ることも。
ポイント:本人や家族が「何か最近おかしい」と気づいて受診し、発見されることも多いです。
🖥 CT検査やMRI検査でわかること・安心できる理由
これらの脳出血は、外からは見えないため、CT/MRI検査での確認が非常に重要です。
特にCT検査は数分で終わり、出血や骨折の有無をはっきりと確認できます。
特に以下のような方は、検査が強く勧められます:
強く頭を打った
一時的でも意識を失った
吐き気・頭痛・けいれんがある
抗凝固薬・抗血小板薬を内服している
高齢の方(65歳以上)
✅ 受診の目安
頭を打ってから以下のような症状がある場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください:
意識がぼんやりする、返事がおかしい
強い頭痛、吐き気や嘔吐が続く
手足の動きがおかしい、しびれがある
一度元気だったのに、数時間後に急に様子が変わる
ご高齢で、いつもと違う様子が見られる
📝 最後に
頭部打撲は、軽いように見えても内部で出血していることがあるため、油断せずに対応することが大切です。
CT検査で何もなければ安心できますし、異常があった場合も早期発見・治療につながります。
「このくらい大丈夫かな…?」と思ったときこそ、遠慮なく医療機関にご相談くださいね。
※参考に硬膜下血腫と外傷性クモ膜下出血の画像になります。
⇧外傷性硬膜下血腫 MRI画像 ⇧外傷性硬膜下血腫 CT画像
」
⇧外傷性クモ膜下出血 MRI画像
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