CGRP関連抗体薬についてのお話②
こんにちは、看護部です。
新年度がスタートして、環境の変化と共に期待や不安が入り混じる時期になりました。
都内では桜も満開になりましたが、連日の悪天候で散ってしまわないか心配ですね!
今回はエムガルティについてお話しさせていただきます。
エムガルティ(ガルカネズマブ)は、片頭痛の予防に用いられる抗CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)抗体医薬です。片頭痛の原因の一つとされるCGRPに結合し、その作用を抑えることで発作の頻度や強さを軽減します。
現在、日本で認可されている3種類のCGRP関連抗体薬のうちの一つです。
⚫︎作用は?
CGRPは片頭痛の発症に関与する物質で、これが増えると脳の血管が拡張し、炎症が起こることで痛みが生じると考えられています。エムガルティはCGRPに直接結合し、その作用を阻害することで片頭痛を予防します。
※(イーライリリー資材より)
⚫︎効果は?
エムガルティを使用することで期待できる効果は次のとおりです。
- 片頭痛の日数が減る
- 鎮痛剤の使用回数が減る
- 頭痛の持続時間が短くなる
- 頭痛の程度が軽くなる
これにより、片頭痛による日常生活への支障が軽減され、より快適な生活を送ることが期待されます。
⚫︎投与方法は?
- 初回:2本(240mg)を皮下注射
- 以降:1カ月ごとに1本を皮下注射
初回に2本投与することで、早期に血中濃度を安定させることができます。
※(イーライリリー資材より)
⚫︎変化の確認方法
- 治療の目標を医師と相談し、理想の生活を描く
- 片頭痛の症状や日常生活への影響を記録し、変化を確認する
治療の成果を実感するために、片頭痛日数の記録をつけるとよいでしょう。
⚫︎自己注射について
エムガルティは医療機関での注射だけでなく、自分で注射する「自己注射」も可能です。
- 看護師の指導を2回受ける必要がある
- 保管方法や取り扱いについて説明を受ける
- サポートツールが利用可能
⚫︎最後に
エムガルティは、片頭痛の頻度や強さを軽減し、日常生活の質を向上させることが期待できる薬です。
自己注射も可能であり、医師や医療スタッフと相談しながら適切に使用していくことが重要です。
片頭痛に悩む方が、「頭痛があることが当たり前」の日常から、「頭痛のない日が当たり前」の日常へと変わっていけるようになるために、CGRP関連抗体薬は有効な選択肢となるかもしれません。
気になることがあれば、一人で悩まずに当院に相談してください。
また、お話①で話した『アジョビ』と今回の『エムガルティ』の違いは、投与方法・作用の持続性などがあります。
当院では頭痛専門医が患者さんに適した薬剤をご提案させていただきますので、ご安心ください。
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